6.進化と変化
 
<ロールプレイングゲームとの融合>

コマンド選択式以降、その底辺にはストーリーを楽しむということが前提となり、AVGの基本ともなった。以降、AVGの主流はストーリーがメ インとなり、冒険するという目的ではなくゲームのストーリーの役を演じる、または傍観者となるタイプの内容のジャンルに変わって行った。本来ならRPG が”役割を演じる”という意味で、AVGが”冒険する”という意味だったのだが、入れ替わってしまったのである。 そして2つのジャンルの境目を無くしてしまうゲームがアメリカで登場する。

Kings Quest
キングスクエスト
それは、シェラ・オンライン社が開発した『キングスクエスト』(1985年)である。このゲームの特徴を一言で言うと、”画面を見ただけではAVGと分からない”である。

このゲームは、RPGのようなフィールドをジョイスティックで自分のキャラを移動させることが できたのである。画面上の中に”距離”という概念を用いたのである。

これまでのAVGはシーンごとに分割されていて、そのシーン内の移動はプレイヤーの想像というか、 暗黙の了解で省かれていた部分である。それをこのゲームは、画面をスクロールすることにより表現してみせた。

また、キャラクターがアニメーションするという”動き”を前面に出したゲームでもあった。キャラが穴に落ちれば落ちた姿を自分で見られ、障害 物が有れば止まり、物陰に入れば消える。なんとこのゲーム。跳び上がったり、池で泳いだり、屈んだりすることもできた。つまりAVGの主人公(プレイ ヤー)を”客観的”に見せたのである。

今までのAVGでの視点は、常にプレイヤー自身から見た画面、ようするにモニターの枠が自分の顔だった。だがこのゲームは自分の姿を はっきりと直視できる。もう1人の自分というか分身が画面の中にいるのである。この変化は、ゲーム上の表現方法を映画的に変えてしまったのである。

この表現方法は、アスキー社から発売された『moon』(1997年10月)へと受け継がれている。ジャンル的にはRPGと設定されているようだが、私はAVGだと思っている。


いけない!?(逝)

moon
moon

このゲームはRPGのレベルアップを行動範囲に当てはめている面白いシステムのゲームなので、 1度プレイして欲しい。

<マルチシナリオ・マルチエンディング>

1本道が主流だったAVGをプレイヤーになんとか遊んでもらおうと、各社はストーリーを楽しんでもらう為に色々と工夫を凝らし始めた。最近ではさほど珍しくもないマルチシナリオ・マルチエンディングシステム。

Taimutonneru
タイムトンネル
このシステムを最初にAVGに使ったのは、 ボンドソフト社の『タイムシークレット』の続編のゲームである 『タイムトンネル』(1984年9月)だと思われる。 (なお、第3弾も発売予定であったが、未だに発売されていない。待っています(逝))

このゲームは、4つのエンディングが用意されていた。違ったプロセスを通ることにより、 各エンディングへと辿り着く。グラフィックは質素であったが、ロールプレイングゲームの様な戦闘シーンや 洒落っけの効いた雰囲気などが好評を得た。

Again
アゲイン
またエニックス社から発売された『アゲイン』(1984年12月)は7種類のストーリーが存在し、エンディングもそれぞれに用意されてあった。

各シナリオの話は短いが、芸能人と結婚したり、不良息子を更正させたりと楽しいイベントがあり、 RPGや手術シミュレーションなど、多彩なミニゲームが集まったゲームでもあった。

Jigoku No Rensyu Mondai
地獄の練習問題
ハミングバードソフト社 の『地獄の練習問題』(1984年7月)の様に、クリア後に どの程度用意されたシナリオを通過したかが分かる様、ランクが表示されるAVGも登場した。

これもマルチシナリオ・マルチエンディングのシステムの一環であろう。 尚、このシステムは、現在多数出ている18禁ゲームの、シナリオクリア状態を表示する”%”に 受け継がれている。


<ザッピング>

”ザッピング”という意味そのものをメインに使用したゲームは、DIGITAL PICTUR社 から発売された『ナイトトラップ』(1992年)が有名であり、初めてのゲームだろう。 同時間上で別々の場所で起きている出来事を、TVのチャンネルを変えるようにして画面を変える手法を ゲームに取り入れたのである。

だがこのアイデア、発想は良かったのだが、常に各場所をチェックしなければならず、非常に 「面倒くさい」とプレイヤーに思わせてしまった手法でもあった。

主人公キャラが、途中変わるという”ザッピング”もある。ストーリーの途中で操作キャラが代わり、 今までストーリーを体験していたキャラではわからなかった謎が、違うキャラで話を進めていくと解決すると いった演出方法である。

コンシューマ機では、ファミコンのディスクシステムで発売された任天堂社の 『新・鬼ヶ島 前編』(1987年9月)・『同 後編』(1987年9月)や、 『探偵神宮寺三郎 危険な二人 前編』(1988年12月)・『同 後編』(1989年2月)な どが有名である。

Onigashima
新 鬼ヶ島 前編
Kiken Na Futari
探偵神宮寺三郎 危険な二人 前編

また、パソコンで発売されているザッピングのゲームには、非常に完成度が 高いものがある。
シーズウェア社の『DESIRE』(1994年7月)、 『EVE〜burst error〜』(1995年11月)。これはマルチサイトシステムと 定義され、登場人物を入れ替えてストーリーを進めていく”ザッピング”要素を取り入れたシステムで 制作された。そしてA・D・M・Sという時間と世界をMAP表示するシステムを採用した、 エルフ社の『この世の果てで恋を唄う少女 YU−NO』などが、現在ザッピングのシステムを 取り入れたゲームの中でも完成度の高いゲームだろう。

この3つのゲームはアダルトソフトだが、ゲームシステムとストーリーには、目を見張るものがある。 また3作ともセガサターン版が発売されているので、未成年の方でもプレイできる。1度はプレイして欲しい。

<インタラクティブゲーム>

AVGがストーリーを表現するのに適したジャンルのためか、映画のように”見せる”事を意識したAVGが発売されるようになった。プレイヤーがゲームの進行に介入するのを極端に少なくし、ストーリーを楽しむ作品タイプだ。

大容量のハードディスクやCD−ROMが標準で付くような機種が出始めてから、数多く発売され始めた。このタイプのゲームで1番最初に出たのはいったい何であろう。

マルチメディアパソコンとして登場したFM−TOWNSで、データウエストから発売された『D−Again』(?年)であろうか? DAPSというシステムを使い、ビジュアル的なシーンを動画として動かしていた。このシステムはシリーズが進むに連れ進化し、『メリーゴーランド』ではゲーム全体が映画ともいえるほどになり、動画と音声がちゃんと再生されていた。

D-NO-SYOKUTAKU
Dの食卓
セガ社が発売したメガCD版の『夢見館の物語』(1993年12月)や、ワープ社が発売した3DO版の『Dの食卓』(1995年4月)も発展したインタラクティブゲームだろう。

ゲーム内容を如何に演出で盛り上げていくかという、映画的なコンセプトを持つゲームである。


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