5.何にしようかな〜
 
テキストAVGもグラフィックAVGも、プレイヤーが行動を指示するには直接タイピングする方法が 主流だった。移動したい場合は、『ニシ』や『W』など方角を指定するか、「イエ ハイル」という様にコマンドを入力して行き先を指示をするゲームが殆どだったのである。

入力するコマンドは、カタカナ・英語・ローマ字の3種類に分類される。AVGが出始めの頃には、”名詞+動詞”もしくは”動詞+名詞”というのがパターンだった。(ただ、移動するコマンドだけは、名詞のみで大丈夫であるゲームが殆ど。)

例えば、カタカナで入力する場合は「ドア アケル」、英語だと「OPEN DOOR」と入力した。このコマンド入力の長所は、自分の考えを直ぐに入力するので、実際にその場にいる気になれることだろう。

また、英語入力式のAVGの場合、英語を覚えられるというのも長所だ。AVGのお陰で「TAKE」や「LOOK」を覚えた人は多かったことだろう。それに、ブラインドタッチが出来るようなれた人も多くいたはすである。ちにみに私は、カナキー変換しか出来ません(逝)
->2000年にローマ字変換で入力出来る様に変えました。まあ世紀が変わったという事で(逝)


余談
pc_Portpia
ポートビア殺人事件
(PC88版)
移動ということに関して、パソコン版でエニックス社から発売され た『ポートピア殺人事件』(1983年6月)は、 他のゲームとは違う”場所指定”という移動方法をとっていた。

これは「〜に行く」と、場所を指定して入力する方法である。 この”場所を指定して移動する”と いう移動方法は今でこそポピュラーだが、直接場所を指定するのは当時としては珍しかった。



しかしコマンド入力方式は、短所が長所を上回っていた。それはまず、面倒くさいということである。いちいち移動するだけでも「ニシ」・「ヒガシ」などと入力しなければいけないので、非常に疲れるのである。その面倒くささを防ぐために、よく使う単語をファンクションキーにセットしておくという方法もあったぐらいである。

しかしなんと言っても1番問題だったのは、入力した”行動”がプログラム上に書かれている”行動”と違った場合、正解にはならないということである。

例えば、『トル』」・『ヒロウ』・『モツ』などでも、”行動する”という意味では同じである。にも関わらず、『トル』という文字しかプログラム上に書かれていなければ、『ヒロウ』・『モツ』などの行動はゲーム上、不正解なコマンドなのである。それは英語でも言えることなのだが、『TAKE』は大丈夫で『GET』はダメ、とか。

Dezeni Land
デゼニランド
きっと『デゼニランド』をプレイした方たちならば、その辛さを分かってくれるはずである(逝)

私にとって”十字架”と”はめ込む”という単語は、死ぬまで心に残るだろう(逝)
っていうか、私がメチャクチャ十字架が好きなのは、デゼニのせいか?(逝)
まあ、私の運命をちょっと変えたゲームかも知れない(逝)

当時のプログラム容量は小さく、プログラマーの職人敵技術を駆使して容量を小さくしていた時代である。おのずと用意されるコマンドは少なくなる。

だが各々が考えて入力する文字は、全部同じなわけではない。もちろん各メーカーも、考えられるコマンドを想定して用意はしていたのだが、それでも限界はある。ユーザーとメーカーの思いつく行動(コマンド)のズレが、いつの間にかAVGは謎解きのゲームではなく、言葉当てゲームと言われるようにしてしまったのである。

そんな中、『ドラゴンクエスト』でも有名な堀井雄二氏が作成し、 アスキー社から発売された『オホーツクに消ゆ』(1984年 12月)にて、画期的なシステムが発表された。

往来のようにコマンドを入力するのではなく、あらかじめ画面上に表示されているコマンド群の中から、 自分のとりたい行動を選択するコマンド選択式である。

Ohotuku ni kiyu
オホーツクに消ゆ

このシステムのお陰で、プレイヤーが入力するコマンドに悩まずに、ストーリーに集中できるアドベンチャゲームが誕生した。特に殺人事件をメインとしたゲームは、会話などの情報量、つまり返答が命である。ユーザーが入力していたコマンドに対しての返答を考えていたのでは、肝心のシナリオのメッセージ容量に影響が出てしまう可能性がある。

しかし予め入力されるコマンドを用意しておくことで、対応メッセージも用意する事ができた。プレイヤーが納得いく答えを製作者がコントロールする事ができたのである。その結果『オホーツクに消ゆ』は、シナリオのテンポと容量を効率良く使うという2つのデメリットを解消し、尚且つ遊びやすいゲームを作る事に成功した。


余談
コマンド選択方式を”最初”に採用したという点に置いては、『オホーツクに消ゆ』は実は違う。このようなシステムは、(発売されたソフトでは)『ミコとアケミのジャングルアドベンチャー』が最初だろう。

しかし『ミコと〜』のコマンド選択式は、当時コマンド入力の負荷を軽減するためによく使われていた、ファンクションキーに行動(キタ、ミナミ、アケル、トルなど)に登録する方法の延長線でしかない。使われる総コマンドが一覧で表示されても、プレイする方にとってはわかり辛いシステムであった。

その点、『オホーツクに消ゆ』は、ちゃんとプレイしやすいように、コマンドがツリー形式となってまとめられていた。『オホーツクに消ゆ』が登場したことによって、コマンド選択方式の便利さが伝わったと判断した。


その後に発売された、リバーヒルソフト社の『殺人倶楽部』(1986年8月)の 登場により、コマンド入力式は奥深いストーリーを展開させるには打ってつけの方式と、より認識され証明された。

このゲームは人気シリーズとなり、『マンハッタン・レクイエム』『キス・オブ・マダー』『DCコネクション』『ブルー・シカゴ・ブルース』 というシリーズがリリースされている。ちなみに私は、このシリーズの大ファン!  ・・・ただ、実写の『ブルー・シカゴ・ブルース』は買ったけどプレイしていません。
だってJ・Bが格好悪いんだモン(逝)

Mader Club

殺人倶楽部

ManRek
マンハッタン・レクイエム
(WIN95版)
DC
DCコネクション
(Win95版)

余談
入力方法を分別すると、英語入力、仮名入力、英語・カナ併用入力、ローマ字変換可能入力。そして後にアイコンで選択するという方法があった。

コマンド選択式が広まったのは、これらのパソコンゲームではなくファミコンが大ブレイクし、AVGが移植販売された事が原因であろう。

その理由は、ファミコンにはキーボードが標準で付いていないかったからである。キーボードがなければ、コマンド入力は出来ない。画面に50音か21文字の表を用意して選択する方法もあるだろうが、実用的ではない。コマンド選択式のシステムは、十字キーを使用するファミコンの『ヒロウ』・『モツ』にとって、使いやすく現実的だったのである。


Portpia
ポートビア殺人事件
(ファミコン版)
エニックス社から『ポートピア殺人事件』(1985年)がファミコンへと移植・発売されたとき、AVGが再びブームになった。

パソコンゲームを知らない人たちが多いファミコンの世界に、今までとは違うタイプのゲームが登場したことにより、当然のようにパソコンと同様、ファミコンの世界にもAVGのブームが訪れたのである。

容量を取るAVGが普及するには、当時のROMの容量では厳しかったが、ディスクシステムが登場したことにより、多くの良作が誕生した。

スクウェア社の『水晶の龍』(1986年12月)、任天堂社の『ファミコン探偵倶楽部 後ろに立つ少女 前編』(1989年5月)『同 後編』(1989年6月)などの名作ゲームが登場した。 後にROMでも大容量が可能になり、プレミアソフトとして現在有名なHAL研究所社の、『メタルスレイダーグローリー』(1991年8月)なども登場した。

Suisyou No Doragon
水晶の龍
Ushiro Ni Tatu Syoujyo
後ろに立つ少女 前編
Metal Slader Glory
メタルスレイダーグローリー

ただ、コマンド選択式にもデメリットがあった。それは、プレイヤーがどう進んでいくのかを考えなくても、総当たりでコマンドを選択すれば、ゲームが進めてしまうというデメリットである。

本来、コマンド選択式の目的は、あくまでもプレイヤーが入力するコマンドに悩まなくて済むことだったはずである。だがAVGは、殆どが1本道のシナリオゲームであったために、クリアしたらそれで終わりだった。高いお金を出して買ったゲームが簡単にクリア出来てしまうと、プレイヤーから文句も出ていた時代である。直ぐにクリアできてしまうコマンド総当たりのゲームは、操作方法が簡単になった分、ゲームクリア後に対しての不満が増大してしまった。

こうした不満にメーカー側は、プレイヤーに長く遊んで貰う手段として、いつの間にか『全部コマンドを選択しなければならない』・『同じコマンドを何回も選ばないとフラグが立たない』などの、面倒な手順を踏ませるという問題も出てきてしまった。 ユーザーの便利さのために作られた事が、逆に仇なってしまったのは実に皮肉な事である。

その結果、ストーリーに力を入れ、なんとかゲームの内容に満足してもらおうと努力するメーカーや、新たなシステムを用いて状況を打破しようとするメーカーなとで、AVGというジャンルの凌ぎを削り合うこととなる。

※このHPで表示されているゲームの著作権は、各メーカーにあります。
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