1.冒険への誘い
 
他のゲームと同じように、高価なコンピュータに触れることが出来る大学で、アドベンチャーゲーム(以下AVGと略します)は作られた。元々は、人工知能の研究の一環として作られたらしい。このAVGというジャンルも、以前ならばコンピュータ(というかプログラム)から出された質問に対して答えていくものが大半だったが、現在は非常に多様化しており、説明が大変なジャンルでもある。

アドベンチャーゲームの誕生は、1970年代。アメリカの大学生が『アドベンチャー』という、テキストで構成されるゲームを制作した。 RPGの世界でもそうだが、『指輪物語』そして『D&D』に影響されて作られたようだ。このゲームの原型は、ゼロックス・リサーチ・コンピュータにてWillie Crowther氏が作成。そしてこのゲームを見たDon Woods氏が非常に関心を持ってスケールアップを熱望した結果、洞窟の中を冒険していく冒険物語が完成した。その結果、多くの人たちが熱中するゲームが誕生した。

そして1977年のアメリカで、Mark Blanc氏、Dave Lebling氏、Bruce Daniels氏、Tim Anderson氏がDEC社の大型コンピュータPDP−10で『ZORK』(1977年から1979年)をプレイヤーの声を聞きながら改良し、制作・完成。Dave氏が『D&D』プレイヤーだった事でRPGの要素も加わっている。

また、『アドベンチャー』に熱中していたプレイヤーの1人であるScott Adams氏が、もっと多くの人たちにもこのゲームをプレイできるようにと、自分のパソコンでプレイできる『アドベンチャーランド』を制作している。

更に1978年もしくは1979年、マイクロソフト社が『マイクロソフト アドベンチャー』をパソコン用に発売したことにより一般化し、ジャンルとして成立した。これがAVGというジャンルの始まりである。
今でこそ、3D技術を多用した美しいグラフィックのAVGや、声優などを起用して実際に声が出力されるAVGなどで溢れているが、元々はテキストのみ表示されるゲームだった。

1972年に初めての商用TVゲームとして有名な『スペースウォー』が発表されて以来、ゲームといえばアクションもしくはシューティングゲームだった。そんな中で登場したAVGに、人々は驚きの声を上げた。それは今まで見たことのないゲームで、自分で謎の答えを考えて入力し、その結果、物語が進んでいく。往来のゲームにはなかった思考・推理するという面白さがゲームの新しい可能性を示し、多くのプレイヤーは、冒険へと誘われたのである。
『ZORK』を作った彼らは、インフォコム社を設立し、パソコン用に作り直した『ZORK I』(1980年)をパーソナル・ソフトウェア社から発売する。

ZORK1
ZORK T
AVGの代名詞として謳われる『ZORK I』は、ファンタジーの世界観をベースに作られた。怪物達が住む地下の巨大迷宮へと進入して、隠されている宝物を集めるのが目的だ。
迷宮はとても大きく、そして複雑な迷路となっており、難解な罠と謎をクリアしていく面白いゲームだった。その結果、『ZORK』はロングヒット。一躍人気シリーズとなった。AVGが広く受け入れられるジャンルとなるきっかけになったのも頷ける。

このゲームの特徴として、”会話”がある。ゲーム中に関係ない言葉を入れても、リアクションが返ってくるのである。例を挙げると「Hello」と入力すると、コンピュータが「Good day」と答えてくれる。これは日常会話を判断できる様に作られたからだろう。人工知能の研究がゲームに生かされた結果である。


ZORK98
ZORK T 98版

テキスト版『ZORK』に関しては、1991年3月にシステムソフト社によってPC−9801に移植されいる。だが残念なことに『ZORKT』のみである。これは発売した時期が遅すぎたのと、グラフィックが表示されるゲームでは無かったので、あまり売れなかったためであろう。

また、この頃の日本はカラーグラフィックを使ったゲームが普通であり、更にブームはAVGの時代からRPG、SLGの時代へと移っていた。

もしもっと前に『ゾーク1』が売れていれば、テキスト版の『ZORK』が全部移植されていたに違いないと思うのは私だけであろうか?
海外のAVGに憧れを抱いている私にとっては、『1』だけの移植は非常に残念である。

Nemesis
ZORK Nemesis
尚、『ZORK I』はサターンとプレイステーションにも移植されているので、機会があったらプレイして欲しい。但し、CGと音楽は付いているため、”完全”な移植とは違うのでご注意を(笑)

『ZORK』は未だにアメリカで根強い人気があり、グラフイックが美しい続編が発売されている。もしテキストだけのAVGはちょっと・・・と言う方は、こちらをプレイして欲しい。

なお上の画像は、1996年にアクティビジョン社から発売された、『ZORK Nemesis』である。


ZORKの販売権についての余談

最初に『ZORK』が販売されたときは、販売をパーソナル・ソフトウェア社。開発がインフォコム社となっていた。これは、創立直後のインファコム社にパッケージングや、ユーザーサポートなどのノウハウがなかったため、パーソナル・ソフトウェア社と提携した様です。

また提携期間は1980年11月から1年間とのこと。

パーソナル・ソフトウェア社が再編成され、ヴィジコープ社と名を変えたときの新しい方針で、ゲーム路線はやめてビジネス用ソフトに重点を置くということになったらしいです。これによりパーソナル・ソフトウェア社との提携を解消。その際に、移譲していたAPPLE版 ZORKなどの”販売権”を買い戻したそうです。

情報有り難うございますM.SUDAさんLaverさん


omote_sando
表参道アドベンチャー
日本で初めてのテキストAVGとして有名なのは、『表参道アドベンチャー』であろう。このゲームは1982年に発売された年刊ア・スキー(月刊アスキーをパロった別冊)にプログラムが掲載され、人気を博したゲームである。
この頃は雑誌に掲載されているプログラムを打ち込んで遊ぶ事が普通であった。打ち込んでプレイするゲームは、よくバグがあったりしたのだが、タダでゲームが出来るので苦労して入力したものである。

内容の方もパロディー精神に溢れており、当時のアスキー社の雰囲気を反映した作品となっている。舞台は、当時実際にアスキー社があった表参道の瀬川ビル。ある特定の方法でアスキー編集部にダメージを与えることが目的である。確か秘密書類を盗み出すことだと思ったが・・・? これはもしかしたらネタバレか!



*『表参道アドベンチャーの』の目的は、正しくは磁気単極子爆弾MagneticMonopoleBomb = MMB)を使って、出版妨害をすることと教えていただきました。有難うございます。>表賛同さん

テキストAVGはグラフィックが無い分、想像力でプレイするゲームであった。確かに美しいグラフイックはそれだけで魅力的に映るものだが、想像するということによって独自の世界観を創り出す事が出来るというメリットもある事を忘れてはならない。またテキストのみの表示なので、性能的に低いハードに負担をかけないというメリットもある。しかし時代はマシンの性能を向上させていき、質素なテキストAVGから煌びやかなグラフィックAVGへと変わっていくのである。

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